【レビュー】トランスジェンダーとハリウッド 過去、現在、そして②【ドキュメンタリー】

(2021/02/07 更新)
男女平等と女性の権利拡大
トランスジェンダーの男性は、トランスジェンダーの女性に比べ社会的に受け入れられていると言う表現をハリウッドは描いていました。
それはなぜなのかと私が考察して思い至ったことは男女平等や女性の権利拡大に関わっているのではないかと思います。
ドキュメンタリーでは、トランスジェンダーの女性はトランスジェンダーの男性よりお金になるのだと告発しています。つまり、商業的な意図であると。個人的意見として、そこには買う側と買われる側の間に社会的な階層制があり、それがイコールで男性優位の社会に結びつくモノではないかと感じました。

ここで風俗で働くような夜職のトランスジェンダーの女性についても取り上げていていました。トランスジェンダーの女性は職探しで差別に遭い、昼職を見つけるのが難しく、最終的に夜職に就くと言う選択肢しかなくなるとのことが多いとのことです。聞いていて悲しくこんなことはあってはならないと思いました。
分水嶺
1952年、とある北欧出身の軍人が性移行手術を受けたと言うニュースが大々的にメディアで取り上げられたそうです。そこが分水嶺となりメディアは変わってい言ったとドキュメンタリーでは、語られています。
しかし、映画の中では性的マイノリティの人々は殺されたりサーカスの見世物のように扱い続けました。銀幕上でトランスジェンダーの女性がその性を暴露すると、相手役の男性たちは(主に男性のリアクション)、吐き戻したり気持ち悪いといった反応を見せていました。
それが40年も続くのです。
トランスジェンダーの人々のステレオタイプな一面だけが切り取られて強調されたことはなんとも言えません。

このドキュメンタリーではCaroline Cosseyと言うトランスジェンダーの女性が登場するTV番組の一場面を取り上げています。彼女は観客から女性であると証明したいからモデル活動をするのかと質問され、とても優雅な返答をしています。私は女性だから別に証明する必要はないわよ、と。彼女の返答は力強く知的で、そして優しかったと感じました。
また別のTV番組では性移行手術についてLaverne Coxと言う別のトランスジェンダーの女優に質問する場面が映されました。個人的にはそのようなプライベートなことを聞くのは失礼だと感じていましたが、司会者はあたかも普通の質問や興味であるかのように質問していました。そこでLaverne Coxはそれは私的なことだから答えたくない、ここに呼ばれた理由であるWやVOGUEの自身の写真について話さないかと上手く切り返しています。その彼女の態度が余りにも美しく、質問から逃げるでも質問を嫌悪するでもない毅然とした姿に、心打たれたものです。
続く
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