【レビュー】トランスジェンダーとハリウッド 過去、現在、そして①【ドキュメンタリー】

(2021/02/07 更新)
差別
かつてのハリウッドでは(悲しいことに未だこのように描く映画はありますが)、トランスジェンダーのキャラクターや性的マイノリティを笑いの的のように扱って映像化してきました。銀幕上で彼らはよく暴力を振るわれ、殺されており、時に恐ろしいサイコパス殺人鬼として描く作品も多くありました。

異性装についても扱いはひどく、米国では昔、違法行為として取り締まられていました。私の個人的な意見ですが、これはキリスト教的考え方が浸透していた影響が大きいのではないかと思います。恥ずかしながら、異性装が米国でかつて違法だったことは私は知らなかったのですが、心底「なぜ?」と感じました。
ハリウッドでは偏見に満ちた完全に間違った性的マイノリティイメージ像を作り上げ、そのイメージは人種差別とも結びついていたとドキュメンタリーでは語られています。特に、トランスジェンダーの黒人女性はタブーであるかのように描かれ続け、ドキュメンタリーで紹介されている、とあるコメディー映画では黒人のコメディアンが女性のドレスを身につけただけで彼の性器が消失すると言うシーンが描かれています。まるで、黒人のトランスジェンダーの女性の存在自体が冗談なのだとでも言いたげに。
このようなシーンは観ていて悲しくなりました。その場面は音楽や演出から考えてユーモアな場面のはずでした。しかし、私の中で何がおかしいのか全く判らず、ただただ当惑しました。本当に、なぜこのシーンが描かれたのか疑問でしかなかったものです。
このような古い時代の映画では、性的マイノリティの方々は笑いのタネであったり、危険な悪役と言った具合でした。あるインタビューの語り手は、ただ男性がドレスを着ているだけで危険で、その人はサイコパスか殺人鬼に決まっていると言う扱いに疑問を抱いていたと告白しています。

私も全く同感で、なぜ異性装をしていたり性的マイノリティであったりすると、そのように描かれなければならないのか。その扱いは間違っているしバカバカしい。勘違いだし、失礼の極みであると感じます。
ただ、知り合いに性的マイノリティの方がいない場合は、このようなメディアから性的マイノリティの方の情報をもらって、それがあたかも真実であるかのように信じるしかなかったという時代です。
メディアは性的マイノリティに対して無知であり、その無知が作り出した虚構を民衆は信じたということですね。
他に情報が無いから、その誤った情報をうのみにして発言するしかなく、それがまた実際の性的マイノリティの方を傷つける、偏見を作ると言う悪循環が生み出されていたのでしょう。
私が思うに、これは教育上の問題でもあり古い時代の映画業界人は正しい性的マイノリティの教育を受ける機会が無かった。そういうことなのだと思います。
続く
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