【レビュー】「/監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影」(ドキュメンタリー)

この記事でわかること:「/監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影」が、どのような英語学習者に分かりやすく、興味が持てるかお届けします。
「/監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影」は、SNS使用に関する警鐘を鳴らす内容です。
(2021/02/04 更新)
- 英語レベル
- 通知機能の秘密
- 告発
- AIはディストピアを作るか?
- SNS 3つの企業目標
皆さん、こんにちは。きんかじゅうです。

皆さんはSNSを使いますか。SNSと言うとFacebook(FB)、LINE、Twitter、Instagram、Tik Tok、WhatsApp、LinkedIn、YouTube…などなど色々なサービスがありますね。
今回は、これらのSNSを作った側からの、使用者への警鐘がならされているドキュメンタリーです。
このドキュメンタリー「/監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影」では、SNSでデザインされているテクノロジーの有毒性や人間の精神にどれだけダメージを起こすか、また実際の人間社会にどのくらい影響を「実際に」与え始めているかが描かれています。
Netflixで観ることができるこの作品は、現在のSNS利用に警告しており、利用を考え直すいい機会になったのでシェアさせていただきます。

英語レベル
使用されている英単語は少し難しく感じましたが、中級者で、字幕があれば問題なく観終われます。
テクニカルな単語やIT的な単語が多めです。経済的な単語も少々出てきます。
IT業界で働いている方やIT業界を目指す方におすすめです。

通知機能の秘密
SNSを利用していて、よくできていると思うのが、通知機能。
ピロン!とスマホが鳴ったり、マナーモードでバズっていたら気になってしている作業を止めてついチェックしがちですよね。
それはなぜか考えたことはありますか。

理由は、これらSNSが人間が持つ本能的な「他人とつながりたい」と言う欲求に訴えかける機能を持つテクノロジーだから、なんだそうです。
人間は社会的な生物なのですね。
スマホやPCのアプリと言うものは、すべからく心理学に基づいてデザインされたテクノロジーです。
使いたくなるように設計され、中毒症状を起こさせるまで使用させます。
例えば、自分の気になる人の通知内容が、『意図的に』自分に向けられて発信されているとしたらどう感じますか。
意図的な通知発信は、実際に企業で行われている手段だそうです。
告発
このドキュメンタリーではドラマ部分と、IT業界に関わってきた当人たちへのインタビューから成り立っています。

インタビューでは受ける側が、どの企業に勤めた経験があるかやどの部門に居たことがあり、どのプロジェクトに関わったかを実名で明らかにしています。
SNSを作り出した人間たちが何を考え、何を目標としていたのかが、内部から告発されているのです。
あるインタビューの受け手は、下記のようなルールをSNS使用に関してわが子に課しているとのことでした。
- スマホを寝室には持ち込まない
- 高校生16歳までSNSを使わせない
- スマホを使う時間を予算化する。どのくらいの時間、スマホを使うか自分で決めさせる
なぜそのようなSNSルールが必要になるのか。
それはSNSがデザイン工学上、簡単に中毒を起こさせる仕組みを採用しているからであるためだとか。

AIはディストピアを作るか?
AIが人間を駆逐すると言うディストピア映画はよくありあます。
しかし、実際にはAIではなく、アルゴリズムがSNSに搭載されています。
Wikipediaでは、アルゴリズムとは、「計算可能」で形式的な手続きのことだと言います。
そのSNSを構成するアルゴリズムが人間の交友関係を決めたり、おすすめ記事や動画の「見たいもの」「好きなもの」しか許容しない世界を作り出しているのです。
人間自身も気づかないような深層心理下で、このアルゴリズムがユーザを操作して現実世界の行動や感情さえも操っている、という事実がドキュメンタリーで露わにされています。
一番最近で目立ったのが、トランプ元大統領の当選でしょう。
この現象はロシアに資金提供されたFBが陰謀論に興味のあるユーザに働きかけた結果と噂されています。

人間は他人と関わりあう中で、自分が孤立することを恐怖しています。
そこで、自分と同じように考える人間の存在はとても価値があるのです。
自分の価値のあると思う関係性からだと、発せられたバイアスのかかった正しくない情報でも信じやすかったりします。
この信じやすさが二極化を引き起こし、現在の米国での対立を産み出していると、警鐘を鳴らされています。

AIは人間を倒しません。
ただ3つの目的を持つ企業にアルゴリズムされた人間のデータが、収益のために、人間の習慣や行動や世界観を破壊するのです。
SNS 3つの企業目標
SNSを作成している側の企業には3つの目標があり、それは人間から得られるデータで達成されます。

企業は競争しあい、人間のデータを金に換え、その人間の習慣変えて、その信用までも売りさばいているのです。
その目標とは下記の3つだそうです。
- engagement goal (利用時間の増加させること)
- growth goal (何回も来てもらって、友人も招待させること)
- advertise goal (広告利用による収益を得ること)
人間がSNSを使っている時間が、企業の収益なんですね。
人間を資源にして企業は収益を得ている、ということがこのドキュメンタリーから見て取れます。
ドキュメンタリーの最後の大部分では、SNSと倫理観について多くのインタビューで語られ、IT業界の再編成が必要だと提言されています。
監視資本主義と銘打つ、このドキュメンタリーの告発の核はここにあります。
「人間を、一部の富裕層のための資源にしてはいけない。」

いかがでしたでしょうか。
ドラマ部分では、十代の少年がひょんなことからスマホでとある政党のSNSを利用を始め、のめり込んでいく様子が描かれています。
2021年は日本でも選挙があると言われています。
自分の使用状況をかえりみる、いい機会かもしれません。
私も使い方を考えなければと感じました。
実は観終わった後で、いつもは気にならないパートナーのDekanaさんがスマホを持っている時間が、気になるようになりました。

みんな、影響を受けているSNS。上手く使っているようで、搾取されているのかも…。
以上、きんかじゅうでした。
英語版はこちら
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